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2020年05月21日
【日本の暦】 小満初候 蚕起桑食
いつもブログをご覧いただきましてありがとうございます。
銀座店の五十嵐です。
暦の上では夏となり、少しずつ日差しに初夏らしさを感じる季節となりました。
ちょうど 小満初候 蚕起桑食【かいこおきてくわをはむ】(5/20~5/25頃)の季節。
着物には欠かせないお蚕さんの季節でもございます。
シルクのものを身に着けることの少なくなった現在ではお蚕さんは馴染みも少ないかと思いますが、
本日はちょっぴり 着物には欠かせないこのお蚕さんのお話を。
蚕を育てて生糸を作る技術は中国から伝来し、
弥生時代には絹織物がつくられていたそうです。
蚕はとても繊細な生き物で歩く力や物につかまる力が弱いので、何千年もの間人間に飼育をされて育ってきた生き物です。
人の手がないと育たない『家蚕』では、毎日蚕に桑の葉を与え、養蚕農家の方が蚕を大切に育てています。
たくさんの桑の葉を食べて、脱皮を3回ほど繰り返し4眠5齢となった蚕が吐糸をし繭になるまでは約1か月。
着物の原料である絹糸の原型である繭はこうして出来上がります。
さらに繭から絹糸を作る『製糸』という工程が加わり、こうして蚕から 艶やかな絹糸へ、織機に絹糸をかけて布を織りあげて美しい着物へと変わっていくのです。
【蚕が吐糸をし繭となるときに入る“まぶし”】
では、大人の着物1着作るのに必要な1反の和服地を作るのには、どのくらいの繭が必要なのでしょうか?
じつはなんと、約4.9㎏と言われています!
さらに細かく見ていくと、
桑葉98㎏⇒蚕約2,700頭⇒繭4.9㎏(約2,600粒)⇒生糸900g⇒絹織物1反
1反の着物が出来上がるには、こんなにも自然や蚕の恵みが凝縮されていたのですね。
着物を作るのには
土づくり⇒桑づくり⇒蚕の飼育⇒繭づくり⇒製糸⇒精練⇒製織⇒染め⇒縫製⇒着物
と、たくさんの工程があります。
様々な工程の機械化が進む前、今のように何でも量産できたりしなかった時代には今以上に一つのものを作り上げるには様々な人の手が、そして時間がかかっていました。
昔の方ははきっと、この美しい糸が出来上がるのに、天からの恵みに敬意を込めて蚕に『天の虫』と文字を宛がったのかもしれません。
京鐘では、日本の美しい着物の文化を大切に、後世へ繋ぐ架け橋を担っていきたいと考えております。
レンタルの他、各種こだわりのお衣裳をご希望の方にはご要望の方には御誂えも承っております。
着物の知識が豊富なスタッフが、お客様のご要望に合わせてピッタリの1枚を提案いたしますのでお気軽にご相談くださいませ。
【実際に反物からの衣装選びをされたお客様の様子】
こちらのお客様は純国産繭を使用した松岡姫という繭の品種の色無地をお仕立てされました!
【国産繭 松岡姫の色無地】
繭づくりから一貫して行う純国産の絹糸は生産量も少なく年々希少になってきています。
着物をお召でいらした方、またお洋服の方も、上からも反物を当てていただき、実際に着ている雰囲気をご覧いただけます。
皆様のご来店をスタッフ一同心よりお待ちしております^ ^
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